もくじ
ヨガと出会った頃の私は・・・
私がヨガと出会ったのは2004年、35歳の時でした。
20代~30代前半は、仕事・学び・遊びにフル回転。
目指すものを見つけたら、強い意志で努力して手に入れる。
手に入れられなかったとしたら、努力が足りなかったということ。
そんな価値観で、自分を追い込むパターンの日々。
そして30代半ばにしてパートナーが海外に単身赴任し、
週末に時間ができたことからヨガを始めてみた、という流れだったのです。
その後もフル回転な生活は変えなかったのですが、
ある時期から体の小さい不調が続き、
時にはお医者さんから安静を指示されたりするようになりました。
体がついてこなければ、強い意志だけでは、どうしようもない。
私の心はすっかり沈み、絶望した気持ちになりました。
体は元気な状態に戻ったのに、
「これおもしろそう!やってみよう!」というワクワクする気持ちが、
わいてこないのです。
その状態は、何カ月が続きました。
心の絶不調を経て・・・
「次にもっと高く飛ぶために、今、姿勢を低くしている時期なんですよ。」
ヨガの先生からその一言を聞いたその時、
暗闇の中に光が差したような気がしました。
その時から私は、ヨガのポーズだけでなく、
ヨガ哲学に向き合い、心の整え方を学び始めたのです。
すると、ゆっくりと霧が晴れていくように、
私の心を縛っていた、
いろいろな思い込みに気づいていきました。
・・・ねばならない ・・・であるべき ・・・にちがいない |
これらの思い込みをさらに深く深く掘っていくと、
「どんな状況になっても、私は大丈夫」
という、自分への信頼を持てていなかった・・・、
そんなことにも、気づいていきました。
仕事やパートナーとの時間など
「やるべきこと」をやらなかったら
私という人間は価値がなくなる、
おそらくそんな思い込みがあったことから、
自分の心と身体をいたわる気持ちを
持てていなかったのです。
「心と体はつながっているんですよ」
ヨガの先生のこの言葉の意味が、
初めてすとんと、腑に落ちました。
その人にとって必要な時に必要なことが起こる、
という信念が、私の中に生まれました。
この時の体調不良と心の絶不調が起きたのは40代直前。
思い込みでがんじがらめの自分に気づいて、
新しい生き方にシフトしていくべき時期だったのです。
ヨガの実践で気づいたのは・・・
その時から、ヨガは私の生活を支えるものとなりました。
そして、教室で習ったヨガのポーズを日常生活で実践するのと同じように、
学んだヨガ哲学も日常生活で実践することにしました。
日常生活の中で感情が動く度に、
なぜその感情が生まれたのか、掘り下げる練習をする私。
特に多かった感情は、やはり「怒り」です。
怒りはもっとも原始的な感情と言われますので・・・。
ムカッとしている自分に気づき、
こんな小さなことで・・・、
と、自分を笑える余裕もできてきました。
そのうち、それまで「嫌い・いやだ・腹立つ・・・」
と感じていた人や出来事に、
そういう否定的な感情が浮かばなくなりました。
嫌いな人が少なくなって、
腹の立つことが少なくなって、
そして・・・、
日常生活が、快適になってきました。
さらに・・・、
この世に存在するものへの愛、のようなものが、
自分の中にある。
そんな気がしてきました。
そうです。
あったのです。
ずっと以前から。
目を向けていなかっただけだったのです。
私はこれを、「本当に幸せな自分」と名付けました。
誰もが自分の心の中に「本当に幸せな自分」を持っているのに、
それに気づいていない人、その存在を忘れてしまった人(私)が
多いのかもしれないと、思いました。
その存在を感じるようになってきたとき、
自分は自分で大丈夫、と思える私が、戻ってきました。
そして、娘を授かりました。
ヨガベースの子育ては・・・
41歳の出産は、驚く人が多いかもしれません。
でも私にとっては、必要な時に必要なことが起きて、今がある、という感覚でした。
ヨガの学びを生活の中で実践してきたからこそ、
ぶれずに、あせらずに、落ち着いてできる子育てがありました。
「今ここに集中」 小さい子はいつも「今」を生きていますが、 成長するにつれ、見えない未来が気になるようになるもの。 〇〇になったらどうしよう? と、コントロールできない未来を心配することを手放せていたから、 娘と同じように、私も、今の幸せを喜ぶことができました。 |
「感情のコントロール」 私自身の感情はもちろん、娘の感情が高ぶっている時も、 まず受け止めます。 そして落ち着いてから、 どう思ったのか、 それはなぜだったのか、 本当はどうしたかったのか、 ひとつひとつきちんと言葉で いっしょに整理するようにしました。 小さくとも、娘もいっしょに、 感情とは何かを学んでくれました。 |
「自分も相手も大切に思うこと」 いっしょに遊んだり、 娘の日常で起きるいろいろな出来事について話す時、 自分の感じることや、娘の感じることを 言葉にするようにしました。 いろんな考えや感じ方があること、 どれも〇でもXでもないこと、 同じでなくても仲良しでいられることを、 リラックスできる雰囲気の中で、感じてもらえるようにしました。 |
それでもまだ、私には気づかなければならないことが残っていました。
その人にとって必要な時に必要なことが起こる。
その時、「それ」はやってきました。
その瞬間の不思議な感覚は・・・
乳がんのエコー検査の時の雰囲気で、
「あ、私、乳がんだな」と直感しました。
その瞬間の不思議な感覚は、今も忘れません。
一瞬のうちに、とても穏やかな心で、
命が終わる可能性を受け入れた自分がいました。
それが必要だから起きる、それだけ。
4歳の娘を残して逝くことにも、
悲しみや不安が浮かびませんでした。
(…さすがに私も、これはあまりフツウじゃないだろうと
思いました。
人が聞いたらひどい母親だと驚かれるだろうなと、
客観的に考えている自分がいました。)
そこから細胞検査を受け、慌ただしく手術日が決まり、
周囲への報告、入院、手術・・・。
その間もずっと、私が考え続けていたのは、
今このタイミングでこの出来事が起きた理由でした。
必要な時に必要なことが起こる。
この私の信念に従えば、
今の生活や生き方を続けるのではなく、
何か大きな変化を起こす必要があるからこそ、
大きな病気がやってきた、
ということになります。
入院中も、私は考え続けました。
本当は・・・心の奥底では、気づいていたんだと思います。
変化を恐れて、気づかないふりをしていたのです。
私の中にあったのは究極の・・・
結果として私は手術を終え、放射線治療を受け、
ゆっくりと日常生活を取り戻しました。
再発予防の投薬は少なくとも5年続きます。
そして、乳がんと直感したあの瞬間の不思議な感覚について、
「ああ、こういうことだったのね」と、だんだん整理できてきました。
幼い娘を残して逝くことを、
あんなに穏やかな心で受け止められたのはなぜだったのか?
私は、娘の中にある「本当に幸せな自分」を心から信じていたのです。
そもそも娘は幸せになるべくして生まれてきた命だから、
どんなことがあっても彼女は幸せな人生を送る。
命が終わることを覚悟した瞬間に、
まったく疑いや不安の入る余地がない、
娘への究極の信頼に、気づきました。
だから、エコーの影の画像を見ながら、私はとても満ち足りた思いでした。
その時の感覚を思い出した時、
これは、「私と娘」だけに当てはまる、小さなストーリーではない、と感じました。
◎娘と同じように、すべての子どもたちが、幸せになるべくして生まれてきた。 ◎私と同じように、すべての親御さんが、子どもの幸せを信じている、 または信じたいと思っている。 ◎私は、子どもたちと親御さんが、幸せに生きていくために役に立つことをしたい。 |
折しも、リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』が話題となっており、
私も読みました。
ヨガと出会って最初に辛かった時期を乗り越えたのは40代になる直前。
そして大きな病気を乗り越えたのは、50代直前。
人生の前半では、自分のために学んできた。 人生の後半は、これまでの人生での学びを、 自分以外の人のために役立つことのできる生き方をしよう。 |
それはつまり、キャリアチェンジをすることを意味していました。
25年間積み上げてきた会社員としての生活を手放すこと。
変化を恐れて、気づかないふりをしていた、私が進むべき道・・・。
乳がんは、私の背中を押すために、来てくれたのでした。
私は覚悟を決め、まずは子どものことを学ぼうと、保育士の勉強をして1年で資格をとりました。
そして手術から3年後の2018年に、25年余り勤めた会社を退職したのでした。
未来を生きる子どもたちのために・・・
未来を生きる子どもたちのために、私ができることは何だろう。
子どもたちが未来を幸せに生きるために、私がなすべきことは何だろう。
私たち大人は、子どもたちより先にいなくなります。
私は娘を産んだ時、こう思いました。
遅くに産んだ分、彼女の人生の早いうちに、私はいなくなるだろう。
だから私は、自分で自分を幸せにし、自分の周りの人を大切にして生きる力を、
日々の生活の中で彼女に見せていこう。伝えていこう。
子どもたちが今生きる環境も、将来巣立っていく社会も、
私たち大人が、これまでにまったく経験のしたことのない形のものでしょう。
それを思った時、親である私たちは、子どもたちに何を望むでしょうか。
環境が変わっても、社会が変わっても、 周りにいる大人や子どもたちが変わっても、 自分の身体が変わっても、 自分の感じ方が変わっても、 自分の好きなことが変わっても、 大丈夫。 自分は自分。 自分は自分で、大丈夫。 |
子どもたちがそう思って日々を過ごし、
前に進む力を育むために、
私は「ヨガ」というツールを使うことができる。
子どもヨガ教室で、ヨガというツールを使って、
子どもたちの心と身体が整っていくお手伝いをしよう。
未来を生きる子どもたちのため。
子どもたちの幸せを願う親御さんのため。
子どもたちと親御さんの幸せのお役に立ちたい私のため。
私を支えてくれる娘と夫のため。
1人ひとりがより生きやすい平和な世界のため。
◆資格他
保育⼠
初級ベビーマッサージセラピスト
サティヨーガ認定講師
インド政府公認校認定ヨガ指導者養成講座ヨガセラピーコース修了
yogabiijaチェアヨガティーチャーズトレーニング修了
Yoga Ed. Pre-K/Professional Institute 1 講師養成講座修了
Yoga Ed. Pre-K/Professional Institute 2 講師養成講座修了
こども哲学ファシリテーター養成講座〈初級編〉修了